写真は高幡山明王院金剛寺（高幡不動尊）の重要文化財の「丈六不動三尊」

「お不動さま」などの名前で古くから親しまれる各地の不動尊。中でも首都圏の初詣や一般参拝で賑わう｢関東三大不動｣とはどこのお寺を指すのだろうか？ また本尊として祀られる「不動明王」とはどのようなものなのだろうか？

関東三大不動とは？

「関東三大不動」とは、不動明王を本尊とする寺院で、一般的には千葉県の「成田山 新勝寺」、東京都の「高幡不動尊 金剛寺」の2寺と、埼玉県加須市の「不動ヶ岡不動尊 總願寺」または埼玉県飯能市の「高山不動尊 常楽院」、神奈川県伊勢原市の「雨降山 大山寺」を指すことが多い。

不動明王とは？

不動明王とは、古代インドのサンスクリット語（梵語）でアチャラナータ（Acalanātha）、アカラ（(Acala）などと呼ばれる五大明王や八大明王の主尊で、日本では真言宗の開祖・弘法大師 空海が中国より持ち帰ったことから始まったとされる。

忿怒の形相をしているのが特徴で、世のさまざまな魔を退散させ人々の煩悩や因縁を断ち切るといわれる。「成田山 新勝寺」の不動明王像は、弘法大師が一刀三礼、敬慮な祈りを込めて彫り開眼したと伝えられるもの。

「成田山 新勝寺」「高幡不動尊 金剛寺」「不動ヶ岡不動尊 總願寺」「高山不動尊 常楽院」は真言宗智山派、「雨降山 大山寺」は真言宗大覚寺派で、いずれも弘法大師 空海を開祖とする真言宗に属している。上記の写真は高幡山明王院金剛寺（高幡不動尊）に安置されている国の重要文化財の「丈六不動三尊」。

関東三大不動と呼ばれる寺院は下記のとおり。

大本山 成田山新勝寺（千葉県成田市）

大本山 成田山新勝寺は、天慶3年(940)、宇多天皇の孫にあたる寛朝( かんちょう)大僧正により開山された、全国8カ寺の別院や末寺など合わせて71ケ寺を有する真言宗智山派の大本山。
本尊は平安時代に弘法大師が一刀三礼、敬慮な祈りを込めて彫り開眼した不動明王像と伝えられる。「京成電鉄 京成成田駅」または「JR線 成田駅」より　徒歩10分。
●大本山 成田山新勝寺の詳しい記事はこちら

大本山 成田山新勝寺（千葉県成田市）

高幡不動尊金剛寺（東京都日野市）

「高幡不動尊金剛寺」は、成田山新勝寺などとともに、関東三大不動のひとつとされる、真言宗智山派別格本山の寺院。本尊は不動明王。
平安時代初期に、慈覚大師円仁が高幡山を霊場と定め、山中に「不動堂」を建立、不動明王をご安置したのが始まり。京王線高幡不動駅より徒歩3分。
●高幡不動尊金剛寺の詳しい記事はこちら

高幡不動尊金剛寺（東京都日野市）

不動ヶ岡不動尊 總願寺（埼玉県加須市）

埼玉県加須市の真言宗智山派「不動ヶ岡不動尊 總願寺」は仁和二年（866年）に光孝天皇の勅言により、智證大師が彫った不動明王を祀ったのがはじまりとされる。
江戸時代には徳川将軍家から信仰を受け、特に五代将軍綱吉公からの信仰は篤く、御朱印百石を贈られた。東武伊勢崎線「加須駅」北口下車徒歩25分（約2km）。
●不動ヶ岡不動尊 總願寺の詳しい記事はこちら

不動ヶ岡不動尊 總願寺（埼玉県加須市）

高山不動尊 高貴山常楽院（埼玉県飯能市）

ハイキングスポットとして有名な埼玉県飯能市の高山不動尊（高貴山常楽院） は、白雉5年（654年）の開山で、かつては山伏の修験道場として栄えたといわれ、成田不動、高幡不動と並ぶ関東三大不動の一つとしても知られる。西武秩父線西吾野駅から約4.7km、徒歩約70分。
●高山不動尊 高貴山常楽院の詳しい記事はこちら

高山不動尊 高貴山常楽院（埼玉県飯能市）

また不動ヶ岡不動尊 總願寺や高山不動尊 高貴山常楽院に代えて、神奈川県伊勢原市の雨降山 大山寺（真言宗大覚寺派）を一つと数えるケースもある。

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